矯正歯科
矯正歯科
歯並びやかみ合わせが悪い状態を、正常にかみ合わないという意味で、咬合異常(不正咬合)といいます。
咬合異常の状態から、歯を正しくかみ合わせられるように治療することが、矯正治療といいます。
歯のかみ合わせは人にとって、とても大事なものです。
食べ物をしっかり噛み砕くことで胃の消化や腸の吸収を助けたり、しっかり噛むことで大きな力を出せたり、素敵な笑顔の元にもなります。
正しくかみ合わなくなる咬合異常の状態では、歯に均等にかかるはずの力のバランスが崩れ体に負担やゆがみを生むことになってしまい、顔立ちや体の不調に繋がってしまいます。
また、発音がおかしくなる原因になったり歯磨きが充分に行えないことで、虫歯や歯周病などの歯の病気にかかりやすくなったりします。
矯正治療を行なうことは、体と心のバランスを整えることになります。
咬合異常には、骨格的な問題があるものと歯の並び方に問題がある場合があります。主な咬合異常の種類をご紹介します。
一般に、出っ歯や受け口と呼ばれています。上下のあごの大きさといった骨格的なバランスに問題がある場合と、前歯の傾きといった歯の並び方に問題がある場合があります。
6歳臼歯のかみ合わせのずれがどの程度あるということも、治療方法を左右する要素です。習癖が原因で起こることもあります。
交叉咬合(こうさこうごう)は、下の歯が上の歯の外側に出ているかみ合わせのことで、逆に鋏状咬合(はさみじょうこうごう)は、下の歯が上の歯の内側に入ってるかみ合わせのことです。
骨格や歯のかみ合わせが左右どちらかにずれています。骨格のずれがなくても、かみ合わせのずれを放置していると、骨格がずれてくることが多いので、早めに治療が必要です。
かみ合わせが深いことを過蓋咬合(かがいこうごう)、上下の歯の間にスペースがあることを開咬(かいこう)といいます。
いずれの場合も習癖が関与している場合が多く見られます。特に開咬は舌癖や口呼吸など機能の異常によって増悪しますので、かみ合わせを治すのと同時
に、機能改善が必要な場合が多いです。
あごの大きさに比べて歯の並ぶスペースがなく、歯がデコボコしていることを叢生(そうせい)、逆にスペースが余っていることを空隙歯列(くうげきしれつ)といいます。
あごの大きさと歯の大きさのバランスがとれていない状態です。前歯と6歳臼歯がはえると、永久歯が並ぶのにどのくらいスペースが足りているかを予測することが出来ます。
矯正治療には大きく分けて2つの治療があります。
歯やあごの成長に合わせて、永久歯が生え揃うように治療をします。
6歳頃~永久歯が生え揃う前のお子様が対象です。
永久歯は装置を使用して治療していきます。主に12歳頃~大人が対象です。
一期治療では、将来生え揃う永久歯でのかみ合わせが良くなるようにする環境づくりが主な目的で、二期治療は長く共に生活していく永久歯でのかみ合わせ、歯並びを治療していくことが目的になります。
歯の状態をしっかりと診断・把握を行い、患者様との治療相談を重ねることで、最適な治療方法を選び治療を行っていきます。
一期治療では、できるだけ良好な顎顔面の成長発育を促すために、土台となるあごの骨の成長発育をコントロールする装置や、歯の生え変わりを円滑にするための装置などを使います。
装置には状態により取り外しのできる可撤式装置や、取り外しができない固定式装置があり、歯列や顎顔面の状態、また患者様の要望や相談によって、最適な装置を選んで使用していきます。
歯の表面にブラケットやチュ-ブを取り付け、アーチワイヤ―、コイル、ゴムなどの矯正力を利用して歯を移動させる装置です。主に永久歯に使用します。
マルチブラケットには、目立たない透明なものや歯の色に近いもの、裏側につけるものなどの種類があります。その中から患者様の要望に合わせて使
用していきます。
保定装置とは、歯を動かす装置をはずしたあとに、歯が元に戻ろうとする後戻りを防ぎ、歯列が安定するようにするための装置です。
一定期間の保定・経過観察を経て、歯が安定してきたらはずします。
マウスピース型の矯正器具を装着して歯を動かす治療です。マウスピースは透明の医療用のプラスチック製で、目立たず、周囲に気づかれずに治療が受けられるという特徴があります。取り外しが可能で、いつも通りに食事や歯みがきをすることができます。
※マウスピース矯正の適応症は限られていますので診査診断が重要です。
子どもの頃に行う矯正治療の大きな目的は、将来大人になった際に正しいかみ合わせ、よい歯並びになるように成長を導くことです。
日々子どもは成長し、歯は永久歯に生え変わり、体と共にあごも成長していきます。子どもの頃の矯正治療(一期治療)は、まさにその子どもの成長の力を利用して行う、成長期だから行える治療です。
あごの骨の成長、永久歯への生え変わりをコントロールすることにより、良好なあごの骨の関係や歯並びへあごや歯列を誘導することが出来ます。
乳歯列のある段階から治療を行なうことで、歯を抜かない(非抜歯)治療を目指すことができます。
歯並びやあごの成長に影響をあたえる、指しゃぶりや舌を出す癖、その他の歯並びに影響をあたえる悪い癖(悪習癖)を改善することが出来ます。
※矯正治療中は、虫歯や歯肉の炎症、歯周病予防のため、口腔内を清潔にすることがとても大切です。
子どもの矯正治療は、一般的に永久歯への生え変わり始めの時期がスタートの目安です。
しかし、咬合異常の症状が重い場合には、早めの診査、診断が必要です。
お子様の歯の状況を事前に確認する意味でも、乳歯が生え揃う7歳頃に、一度ご相談していただくのがいいでしょう。
歯並びや歯のかみ合わせが悪い「咬合異常」の状態は、あごを始めとする顔面、歯、歯列、そしてかみ合わせの成長や発育に障害をあたえますので、子どもの頃から治療が良いとされています。しかし、歯科矯正治療は、子どもだけのものではありません。
「何らかの理由で子どもの時に治療が出来なかった」「大人になってから、歯並びが気になるようになった」など、大人になってから治療の機会が出来たり、視野に入ることはとても多いです。
ただし、子どもの治療とは異なり永久歯列での治療になりますので、歯の移動で多少治療期間がかかってしまったり、子どもより痛みを感じやすい場合があります。